食道裂孔アカラシア
概要
食道アカラシアは10万人に1人の割合で発生すると言われ、食道の蠕動障害と嚥下時の下部食道括約筋の弛緩不全によって引き起こされる神経原性の食道運動障害のことです。
原因
飲食物が食道を通過する際に、胃へと送る食道の蠕動をコントロールする神経の変性や減少が原因ではないかと言われています。その結果、食道の蠕動障害や嚥下時の下部食道括約筋の弛緩不全が引き起こされます。
症状
症状としては、飲食物の飲み込みづらさや、喉の違和感、食後の胸の痛み、嘔吐などがあります。
診断
食道内圧検査では、下部食道括約筋の弛緩不全と食道の蠕動の消失が認められます。
また食道造影検査では、嚥下時の蠕動運動の消失や食道の拡張、下部食道括約筋の部分での狭小化の所見が認められます。
治療
蠕動を回復させる治療法はないため、アカラシアの治療では下部食道括約筋の圧を低下させることを目的とした治療が行われています。
下部食道括約筋のバルーン拡張術
腹腔鏡下食道胃接合部筋層切開術と同等の有効性が示されています。食道穿孔の発生率は医療機関毎に異なるものの、0~14%と言われています。
下部食道括約筋の腹腔鏡下筋層切開術
治療成績は確立していますが、手術のため全身麻酔が必要となります。食道穿孔の発生率は0~4.6%と言われています。
下部食道括約筋の内視鏡的筋層切開術(POEM)
短期成績が良好であることが示されています。新しい治療法で、特定の病院で行われていますがまだ導入している病院も少なく治療成績が確立していません。
下部食道括約筋へのボツリヌス毒素注射
70~80%の患者で症状の改善が認められますが、効果は半年から1年しか持続しない場合があります。